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2023.03.03

SDGs貢献

第3回国際大学フォーラムを開催しました

2023年3月3日(金)に第3回国際大学フォーラム を「外国人留学生の輝く未来のために -多様性社会に求められるキャリア支援-」のテーマのもと、学校法人城西大学東京紀尾井町キャンパスで開催しました。

 基調講演では、日本学生支援機構理事長代理の矢野和彦氏が「外国人留学生のキャリア支援の現状と課題」と題し、外国人留学生の日本国内での就職率が、現在は60%を切っているというデータを挙げ「今後の支援いかんで、この数字も回復してくると考える。何より足りないのは、就職を希望する留学生への情報だ」と指摘しました。そのうえで「日本の文化への興味と治安の良さに加え、留学費用が安いことを、日本を留学先に選んだ理由として挙げる学生が多い。一方、企業側は外国人を採用する理由として、優秀な人材の確保を挙げる社が一番多い」として、政府が展開する日本への留学促進およびその就職支援策について説明しました。
 次に、主催者を代表し、濱名篤・関西国際大学学長が「留学生に求められる学習機会と学修成果」について講演しました。濵名氏は留学生へのキャリア教育の課題として、日本語力や日本の文化・習慣への対応、アルバイトとの両立などを挙げ、「日本社会は人手不足なのに、日本で就職したくてもできなかった留学生が相当数いる。その一番の原因は情報不足だ」と、矢野氏と同様に言及。打開策の一例として、兵庫県内の大学が連携して展開している「留学生向けキャリア支援事業」での取り組みを紹介し、「インターンシップも無給から有給へ、経験型から課題解決型へと変わる必要がある」と述べました。

 後半は、留学生比率が高い大学として知られる立命館アジア太平洋大学(APU)の伊藤健志・東京オフィス所長と、留学生を積極的に採用しているコメリの山本剛史・採用グループリーダーマネジャーをゲストスピーカーとしてお招きし、それぞれの立場から提言いただきました。伊藤氏は、企業が高い日本語能力を求めることに加え、日本経済の状況から「日本で働きたがっている留学生は減少傾向にある」と指摘。一方で、インフラや衛生環境、安全面などが世界最高水準で、学部卒でもトップカンパニーの幹部候補生になれるなど、日本で働くことに魅力を感じている留学生も数多くいることに触れ、「外国人人材は次の日本を作る仲間であり、労働力不足を補うものではない。グローバル人材の再定義が必要だ」と訴えました。「高度人材は世界中で獲得競争が起きており、大学だけでの力では勝ち抜けない。日本全体として産学官が総力戦で立ち向かう必要がある」とし、留学生に選ばれる日本となることの必要性を強調した伊藤氏は、日本社会が変化するために「まず管理職が留学体験を」と提案しました。

 山本氏は、各登壇者から指摘のあった日本語能力に関し、「面接をしていると(日本語能力試験で最高レベルの)N1を持つ学生よりもコミュニケーション力が高いN2の学生もいる」と、現場ならではの実感を語ったうえで、第一線で活躍する外国籍社員の例を紹介。日本の大学を卒業し、入社6年目でガーデニング用品や床材などを次々に開発し、ヒット商品を生み出している様子を伝えてくださいました。また、日本で働こうとする留学生が直面するビザの問題についても触れ、留学ビザから就労ビザへの切り替えにおける柔軟な対応の必要性を指摘しました。

 フロアとの質疑応答も活発に行われ、次代を担う人材に日本で働くことを選んでもらうために私たちがいまなすべきこと、これからできることを会場全体で考え、共有し合いました。

日本学生支援機構 矢野和彦理事長代理

関西国際大学 濱名篤学長

 

立命館アジア太平洋大学(APU) 伊藤健志東京オフィス所長

株式会社コメリ 山本剛史採用グループリーダーマネジャー